音楽で食っていくこと2019/10/06 21:11

今日は、かみさんと「蜜蜂と遠雷」の映画を見てきました。

恩田陸氏が音楽コンクールをそのまま、最初から本選までのすべてを小説として書いた作品の映画化された物です。

恩田陸さんは、着想が面白い小説家ですが、この作品の評判が良いので、購入して読んだときは、その筆力に圧倒されました。

この小説は、音楽という実際に音を聞かなくては、かわからない芸術が、文学で表現できるのかというテーマに果敢に挑戦し、主に四人のピアニストの心理描写まで食い込んで、音楽コンクールの内面を書き上げた秀逸の作品です。

音楽を、音以外で取り上げた作品に、漫画では
「のだめカンタービレ」で、音楽を表現していますが、こと音楽の表現では、今一歩物足りない物がありました。

「ピアノの森」では、ショパンコンクール至る主人公の道程と、コンクールを取り巻く人間模様にまで踏み込んで、漫画でも音楽を表現できるのかと思い、おもわずこの漫画に傾注してしまったのです。
(この漫画は、私の好きなトップグループに属す佳作です。)

恩田陸さんは、映像も音も再現できない、文字という世界で、音楽とその映像を見事に表現しています。

映画化された「蜜蜂と遠雷」は、その小説のツボは押さえていましたが、
小説を先に読んだ者にとっては、物足りたりませんでした。

この映画を見ると、音楽で食べて行ける人は、ほんの一握りであり、
努力の上に、さらにタレントに恵まれないと従事できない世界だと感じます。

「10時間でも12時間でも。ずっとピアノが好きで引き続けることができなくては、ピアノの先生でもなれないよ。」と、映画で表現された世界をみて、つぶやいておりました。