音楽で食っていくこと2019/10/06 21:11

今日は、かみさんと「蜜蜂と遠雷」の映画を見てきました。

恩田陸氏が音楽コンクールをそのまま、最初から本選までのすべてを小説として書いた作品の映画化された物です。

恩田陸さんは、着想が面白い小説家ですが、この作品の評判が良いので、購入して読んだときは、その筆力に圧倒されました。

この小説は、音楽という実際に音を聞かなくては、かわからない芸術が、文学で表現できるのかというテーマに果敢に挑戦し、主に四人のピアニストの心理描写まで食い込んで、音楽コンクールの内面を書き上げた秀逸の作品です。

音楽を、音以外で取り上げた作品に、漫画では
「のだめカンタービレ」で、音楽を表現していますが、こと音楽の表現では、今一歩物足りない物がありました。

「ピアノの森」では、ショパンコンクール至る主人公の道程と、コンクールを取り巻く人間模様にまで踏み込んで、漫画でも音楽を表現できるのかと思い、おもわずこの漫画に傾注してしまったのです。
(この漫画は、私の好きなトップグループに属す佳作です。)

恩田陸さんは、映像も音も再現できない、文字という世界で、音楽とその映像を見事に表現しています。

映画化された「蜜蜂と遠雷」は、その小説のツボは押さえていましたが、
小説を先に読んだ者にとっては、物足りたりませんでした。

この映画を見ると、音楽で食べて行ける人は、ほんの一握りであり、
努力の上に、さらにタレントに恵まれないと従事できない世界だと感じます。

「10時間でも12時間でも。ずっとピアノが好きで引き続けることができなくては、ピアノの先生でもなれないよ。」と、映画で表現された世界をみて、つぶやいておりました。

防災対策2019/10/14 10:52

10月12日土曜日に東京地方を襲った台風19号ですが、各地に爪痕を残して過ぎ去っていきました。

荒川と隅田川に挟まれた地域に、20年余住むものとして、昭和33年以来の大型台風とのことで、今回の台風の来訪は恐怖でした。

午後4時頃から、荒川の河川氾濫警報が発令され、次の警報では我が家まで、あと5町の距離まで警戒区域が広がってきました。
私の住むマンションでも、入居以来初めて、防潮板を車の出入り口部分に取り付けを行ない水の侵入対策をしました。

水彩都市が、一挙に水害都市に変わってしまうのではないかと思うほどでした。

幸い、東京を通り過ぎた台風は、都心部では被害が出ませんでしたので、我が水彩都市も守られました。

しかし、東京の郊外、長野、東北地方などに、河川の堤防決壊などで、甚大な被害をもたらしてしまいました。
改めて、河川の氾濫の恐ろしさを実感しました。

地震と同等に、水害の破壊力はすごいもので、改めて防災というものを考えなくてはいけないと思っています。

荒川のように、1級河川は、降雨強度を100年にするとか、200年に設定するとか考えて、堤防を計画するのですが、温暖化で気象現象が変わってしまった今の時代、改めて安全に対する設計基準を見直さないといけないと感じますし、2級河川以下であっても、同等の設計基準の見直しが必要と感じています。

これが、個人になると、
我が家では、写真のように、手巻き充電防災ラジオ、これは、懐中電灯にも、携帯の充電器になり(実際どのくらいハンドルを回せば充電できるか未知数ですが、)サイレンを鳴らすことのできる、防災機器の備えています。そのほか、写真下部に載せているように、簡易ガスコンロ(ボンベは別売り)を持っています。

これに、ヘルメット、ペットボトルの水1週間分、長靴、懐中電灯などがありますが、実際何が一番役に立つのか不明です。

上記の備えで、お湯を沸かして、夜は電池切れの心配をしないで、懐中電灯の光で、3日間ぐらいは生きていける準備はしておりますが、
自分で、自分の身を守ることの難しさを感じております。

脚気という病気2019/10/20 19:10

幕末から明治時代を取り上げた小説は数多くあるのですが、その戦争のあり方と人間模様を取り上げたものが多いです。

吉村昭氏の「白い航跡」は、明治時代の陸軍と海軍において、戦争の死者よりも、脚気で死ぬ人が多かった事象を捉えた小説です。

海軍は、英国で西洋医学を学んだ高木兼寛が食事療法で脚気を根絶するのですが、その提案を、ドイツ医学を主流とする東京大学派や、ドイツ帰りのドイツ医学を学んだ、森倫太郎(森鴎外)が、猛烈に反対します。

そのために、陸軍は脚気にかかる患者が多いのですが、ドイツ医学を信奉する森倫太郎とその東大を頂点とする権威者たちは、英国医学を低く見て、高木兼寛の治療法を認めようとしないのです。

偶然、ネットでこの本の上巻が配信された小説でしたが、今まで知っていたと思っていた明治時代が、全く違う観点で知ることができたことは有意義でした。