カワイイ建築の流れか?2011/01/10 20:26

年齢か、時代の移り変わりか、個人個人が、現代建築が捉えられなくなって来ている危惧感は、ちょうど、年をとって来ると、新しい曲が覚えられない、歌えないという感覚に近いものかも知れません。

技術屋や専門家は、いつも、そのことだけを考えて生きている人種でありますが、時代の流れは、好む好まざるを得ないでも、よどむことなく流れていきますが、特に、現代社会では、急流のような勢いで、時代が過ぎていく感じを受けていますが、その、専門職の人にとっても、流れが速くて、時代についていくのは、容易なことでありません。

建築は、経験則の部分が多分にあるので、いわゆる、安全で、雨露しのぐという建築が「シェルター」としての根幹の部分があり、そこに根付く技術の進歩は、他の産業と比べて歩みが遅いので、定年退職した世代でも第一線で働くことが出きる、特殊な産業と思います。

しかし、表層の部分は、やはり、流行、人の嗜好、社会の要求されるニーズに合わせるために、その流れは、日進月歩です。
建築家の安藤忠雄氏は、必ず敗れ去る「若さ、自分の生命」への挑戦のように、建築に対しても、いずれ、時代に敗れ去る時が来ることが明白ですが、いまだに、第1線を走る闘争心には、深く感銘を受けます。

建築も時代時代で要求される表現やニーズは移り変わっていきますが、仕事がら、今要求されている建築ニーズをどのように、表現し提供するかを考えるのに、少し納得する著書がありました。

それは、「カワイイパラダイムデザイン研究」という、真壁智治とチームカワイイが平凡社から出版された本です。

本書では、「カワイイ」という、言葉の定義を、心安らぐ、安心できる、癒される、人とつながれる、気持ちが高揚する、より楽しくなる効果を生むものとして解説しております。
そして、使い手、観客の側から建築をとらること、カワイイ感性に触れる仕組みや、プログラムデザインの提唱をしようと描かれています。

建築に対して、カワイイという感覚、評価を重視し、建築を気分で捉えることは、
1.建築に対する素養のあるなしに関係なく直感されるもの
2.建築から生き生きとした生命的な息吹が直感されるか?の
観点で、これまでの感覚・評価と様相がことなり、
建築を作るものも生活者も、感覚享受と、ものの発見、決定につながる
意思疎通につながっていると。

建築の作り方も、カワイイ発想が、使い手と目線を合わせ、
「建築」がより身近に自分たちの対象として、取り組んでいける土壌になったことを感じます。

カワイイという感覚は、NHKテレビの東京カワイイTVで、紹介される前から、世界言語として広まってきています。

今年は、この世界潮流を受けて、さらに「カワイイ」建築が出現しそうです。
どんな建築が出現するか、楽しみな年です。


<参考文献>
カワイイパラダイムデザイン研究  真壁智治◎チームカワイイ
世界カワイイ革命         桜井孝昌
東京カワイイTV           NHK
「かわいい」の帝国        古賀令子 他

昨年のショパンコンクール雑感2011/01/10 20:40

2010年は、ショパン国際ピアノコンクールが開催された年でした。

このコンクールは、5年に一度というインターバルの長さと、概ね28歳までの年齢制限が加わり、しかも、ショパンの作品しか弾くことができない、厳しいコンクールであります。

今年の日本人の出場者は、実に17名でしたが、昨年2010年9月20日に私のブログに掲載させていただいた、渡辺友里さん他5名が2次予選まで進めましたが、その後、誰も、3次予選まで進めることができませんでした。

今回の優勝者は、ロシア人のユリアンナ・アヴデーエワという、25歳の女性で、実にアルゲリッチ以来、45年ぶりの女性の優勝者でした。

12月に偶然、NHK教育テレビで、来日しN響と競演した放映を見ましたが、完成度の高さ、堂々たる演奏で、この年で、今までどんな演奏活動をしてきたのか、まさに驚嘆いたしました。

ショパンを弾ける人は、ショパンがピアノの詩人といわれるように、叙情的で、病弱であったときの閉塞感、ロシアに対峙するポーランドの愛国心、愛の遍歴、ジョルジュ・サンドとの愛の懊悩、など、旋律の美しさに秘めた心の部分を知らないとただ単に、鍵盤の上に手がうまく動いているとしか言いようのない演奏になってしまいます。

ユリアンナ・アヴデーエワさんが、25歳の若さで、ここまで演奏ができるのは、何故かと思っていましたら、NHKテレビの対談で、演奏活動をしていく上での、(うわさではもう結婚されているとかで)、生活の両立のことや、人間の幅についての疑問を自分に投げかけていたことでした。

完成度の高い人でありますが、更なる高みでの演奏家をめざして羽ばたいていただきたいと思いました。