人探しの一年2013/12/23 17:04

11月末の風景ですが、草津温泉です。

今年の目標は、人探しの旅でした。
還暦を過ぎても、煩悩に捉えられて懊悩を抱える身としては、自分探しなどとてもできるレベルでないので、生き方を探る意味で人探しをテーマにしてきました。

多くの参考になる人に出会い、老若男女を問わず、生き方の参考になる人はとても多く、来年もこの人探しの旅を続けることの嬉しさを感じております。

さて、テレビ番組では、生き方のヒントとして参考になる人として、船越英一郎氏が、案内人として、「ソロモン流」という番組で、いろいろなジャンルで活躍している人を毎週紹介している番組があります。

この番組を見ると、なんでこんな人がソロモンなのかと思うような人がいて、がっかりすると同時に、自分の生き方を振り返るのに参考になります。

例えば、紹介者の中にはとても失礼気まわりない人がいて、船越氏と一緒に映画を共演したのに、その事を完全に忘れていたり、子育てより、自分のことばかり考えて、早くロケが終わったのに、子供に食事を作ることさえ忌み嫌うようで、早くエアロビクスに行きたいなどとのたまう女優が出てきたりして、夫、家庭家族を、なんと考えているのか、とても信じられない人が出できたりします。

また、ある人は、妻も家族も絶対に見せないのに、社員は家族だと言って、うそぶいて登場する人、家族も、家庭もなく、仕事しか知らない人など、偏った人も出てきます。

昔、私の後輩は、ある資格を取ろうとして時に、「結婚してほしい」と、女性に言ってもらった状況でも、全てを犠牲にして、それに打ち込んだ人がいました。しかも目標はかなえられませんでした。
来年の年賀状を書きながら、昨年の年賀状を見るにつけ、未だに独身です。

私は、人生欲張りだから、すべてを満たして生きないといけないと思っていましたので、それでなくても、多くを望んでも叶えられることは限りがありますので、彼に、その当時、結婚を勧め、全てを掴んで歩んでほしいと話しましたが、若いころの後輩にはわからないことでした。

最近のソロモンでは、バイオリニストの高嶋ちさ子さんですが、彼女の生き方は、子供も大事に、家族も大事、夫も大事、何億もするバイオリンよりも、雨に遭遇するかもしれない観客に彼女の持っているバイオリンの音色を聞かせて上げたいという精神は、本当のソロモンであると感じました。

私の理想とする生き方、ソロモン流の考え方は、同じく、家庭家族を大切にし、子育てもちゃんとする、偏った生き方をしないで、全てを掴んで生きていく生き方です。

来年も多くを掴んで、多くの参考になる人の生き方を参考に、生きていきたいと思います。

建物の安全性の確認2012/03/18 20:58

年度末に、竣工する物件がいくつかあります。

建物が、無事完成するには、いくつかの検査を受験して、合格しなくてはいけません。
検査の中で、とくに重要な検査は、消防検査と、建築の確認検査です。
消防検査が終了し、建築確認検査が無事終了しますと、役所から検査済証が発行されて、晴れて建物を使用することができます。

この二つの主要な検査を受ける前に、建物が確実に防災的に安全であるかを自主的に行う検査として、綜合防災連動試験というものを行います。

おもな防災検査内容は、以下の4点であります。
1・外観検査
 ・感知器・受信機・消火器等がちゃんと据えてあるかを確認する
2・機能検査
 ・感知器・受信機の作動状態を確認する
3・作動検査
 ・エレベーター火災停止・:空調停止を確認する
  消火ポンプ起動確認等
4・以上の3点を同時に正常に作動するか確認する総合検査
 ・防災連動試験(防火扉・防火シャッター等)

防災システム機器は、いろいろなものがありますが、膨大な数の機器を、建物が実際に、利用者が入館して、利用者が安心して使うことができるように、一つ一つ地道に検査をします。

検査の中でも、とくに、直接、疑似の火災が発生させた状態を想定した
試験、直接、煙を出る特殊な装置で、煙感知機を炙って、火災の状態を感知するかを試験する検査があります。

この試験が開始すると
「○○部分の煙感知器が、発砲しました。」と、アナウンスが館内に放送され、建物館内が非常放送のサイレンで、「ピーポ、ピーポ」と鳴ります。
その発砲と同時に、防火扉が作動してしまったり、防火シャッターが下りてきて、火災部とそうでないところを区画します。

「○○部分の作動は正常です。」と、実際に発砲している人や作動検査をしている人に、防災センターから、アナウンスがあり、一つの機器の動作確認が行われます。

綜合防災連動試験は、まさに建物に命が吹きこまれる瞬間です。
この館内にけたたましく鳴り響くサイレンの音とアナウンスを聞くと、建築に携わる者にとっては、子供が生れ出るときの胎動や、新年を迎える前の除夜の鐘のような厳かな感じを受け、無事に、建物が完成してほしいと気持ちが高揚してきます。

店舗リニューアルに思う2011/11/06 20:07

昨日の日経新聞の土曜日版に、
先ほどリニューアルした、銀座阪急デパートの記事が載っておりました。

既存のデパートを、男性専用に特化したデパートにしたことで、売り上げが伸びたとの記事でした。

売り上げの伸びた要因について新聞記事の内容は、男性4人に一人がいまや、独身なので、その独身男性はお金にゆとりがあるので、高額商品の購買に意欲的で売り上げに寄与しているとのことでありました。

先日、同じ場所に立っている、元西武百貨店が、ルミネになったことで、その見学を兼ねて、この阪急デパートに見学に行ってきました。

ルミネは、若い女性をターゲットにしており、店内は色とりどりで、
各階に出店しているお店も、若い女性が買いやすい品ぞろえと、雰囲気を演出しておりました。

通路幅も狭くして、雑多な店の構成は、毎回違った顔が見せることができるように、わざと迷路上にして、訪れる度に発見を促す仕掛けがしてありました。

この賑わいを感じた後で、入った阪急百貨店は、男性客のみをターゲットにしております。

この新しくリニューアルした店舗、1階に足を踏み入れた瞬間から、排他的で、しかも誰もが購入することのできない、ブランドを取り揃えて、とりすましている感じをうけ、また、内部照明も暗く、色彩計画も黒を基調にして、陰湿この上ない店づくりをしておりました。

この雰囲気から、購買層は、中年の比較的お金にゆとりのある世代でなく、40歳前後の、若いビジネスマンをターゲットにしていることが分かりました。

しかし、男性で、しかも第1線で活躍する、高級品を買うことのできる購買層がどの程度東京近郊に存在しているのかわかりませんが、このような店構えで、本当に売れているのかしらと感じを受けました。

ルミネ見学の当日、この店舗に入ったお客を見ておりましたが、ほとんどの客は、ここの商品の袋を持っておりませんでした。

ルミネの開店直後の賑わいを見てきた為か、男性専用百貨店の陰湿さと暗さだけが印象に残りました。

デパートに買い物に行く楽しみは、商品だけを目当てでなく、イベント性や、その店の持つ華やかさが重要だと感じております。

男性だけをターゲットに絞ったことで、若い女性のいない店舗とは、かくも華のない店舗になり、歩いていても少しも楽しくない店舗が出来上がるのだなとつくづく、マーチャンダイジングの難しさを感じました。

あと、一年もしたら、たぶん方針をかえてMDをやり直すと思いますが、
ここの店舗を計画したプランナーは、男性の妻もしくは、女性の買い物のついでに、男性用品を買っててもらえるという通常の買い物パターンを熟知していない可能性があります。

ここの百貨店と同じように店舗展開をしている店舗に、新宿伊勢丹のメンズ棟ガあります。

新宿伊勢丹のメンズ棟は、まさに男性専用で特化して成功している店舗ですが、男性用品が売れる行動パターンは。伊勢丹で自分(女性)のものだけ、あるいは、高額の買い物をした女性の心理的負担を軽減するかのように、メンズコーナーにそのまま移動して、男物の用品を買っている、夫婦を見かけることが多々在ります。

男性がそのまま、消費の王道に行くには、まだまだ時間がかkりそうです。男性の買い物嗜好は、直線的で、目的を持って買い物に行くので、
女性客と同伴でない場合は、ほとんど、ウィンドショッピングを行わないで、他の店舗に寄り道することはありません。

これから、銀座阪急のメンズ百貨店が、継続的に営業成績を上げられるか注視していかなくてはいけませんが、動き回ることが必要でない男中心の店舗、華のない店舗、色気のない店舗には、それが男性用品に特化した店舗といえ、生き残っていくのは難しいのではないかかと、、隣接にリニューアルしてオープンされた、華やかな、ルミネと比較すればするほど、先行きに不安を受けました。

設計施工について2011/05/15 20:31

日本建築学会発行の2011年4月号建築雑誌に、「戦後の日本のデザイン×ビルドの展開」という講義レポートがありました。
話し手は、内田祥哉 元東大の建築の先生です。

私たちが学生の時は、建築工法や建築生産についての本を多く書かれており、少なからず影響を受けたものです。
彼の言質の中で影響を受けたものの一つに、間違っているかも知れませんが、「設計施工分離」を唱っていたように感じます。

この設計施工分離が学生を卒業後もトラウマのように心に刻み込まれ、ゼネコンで設計を営むことにずっと疑問を持ってきました。

今回、内田先生の語りを拝見すると、設計施工も建築生産の形態だと思うようになったということが書かれていました。
実際に設計を完全に独立させることは、大変なことが分かってきたと述べています。
姉歯事件を振り返るまでもなく、設計に対する発注図書を完全に書けない現状では、設計責任は常にあいまいです。

家具にしても、彫刻にしても、エレベーター、エスカレーター、ユニットバスにしても、設計であっても製造物責任を持っているということで、設計施工をわけることができないと言ってます。

大学を卒業してから、定年をあと2年余で迎えるにあたって、設計の独立性いとは何か、また、
この雑誌を読んでから、設計施工の分離の意味をもう一を考え直す時期に来ているように感じています。

カワイイ建築の流れか?2011/01/10 20:26

年齢か、時代の移り変わりか、個人個人が、現代建築が捉えられなくなって来ている危惧感は、ちょうど、年をとって来ると、新しい曲が覚えられない、歌えないという感覚に近いものかも知れません。

技術屋や専門家は、いつも、そのことだけを考えて生きている人種でありますが、時代の流れは、好む好まざるを得ないでも、よどむことなく流れていきますが、特に、現代社会では、急流のような勢いで、時代が過ぎていく感じを受けていますが、その、専門職の人にとっても、流れが速くて、時代についていくのは、容易なことでありません。

建築は、経験則の部分が多分にあるので、いわゆる、安全で、雨露しのぐという建築が「シェルター」としての根幹の部分があり、そこに根付く技術の進歩は、他の産業と比べて歩みが遅いので、定年退職した世代でも第一線で働くことが出きる、特殊な産業と思います。

しかし、表層の部分は、やはり、流行、人の嗜好、社会の要求されるニーズに合わせるために、その流れは、日進月歩です。
建築家の安藤忠雄氏は、必ず敗れ去る「若さ、自分の生命」への挑戦のように、建築に対しても、いずれ、時代に敗れ去る時が来ることが明白ですが、いまだに、第1線を走る闘争心には、深く感銘を受けます。

建築も時代時代で要求される表現やニーズは移り変わっていきますが、仕事がら、今要求されている建築ニーズをどのように、表現し提供するかを考えるのに、少し納得する著書がありました。

それは、「カワイイパラダイムデザイン研究」という、真壁智治とチームカワイイが平凡社から出版された本です。

本書では、「カワイイ」という、言葉の定義を、心安らぐ、安心できる、癒される、人とつながれる、気持ちが高揚する、より楽しくなる効果を生むものとして解説しております。
そして、使い手、観客の側から建築をとらること、カワイイ感性に触れる仕組みや、プログラムデザインの提唱をしようと描かれています。

建築に対して、カワイイという感覚、評価を重視し、建築を気分で捉えることは、
1.建築に対する素養のあるなしに関係なく直感されるもの
2.建築から生き生きとした生命的な息吹が直感されるか?の
観点で、これまでの感覚・評価と様相がことなり、
建築を作るものも生活者も、感覚享受と、ものの発見、決定につながる
意思疎通につながっていると。

建築の作り方も、カワイイ発想が、使い手と目線を合わせ、
「建築」がより身近に自分たちの対象として、取り組んでいける土壌になったことを感じます。

カワイイという感覚は、NHKテレビの東京カワイイTVで、紹介される前から、世界言語として広まってきています。

今年は、この世界潮流を受けて、さらに「カワイイ」建築が出現しそうです。
どんな建築が出現するか、楽しみな年です。


<参考文献>
カワイイパラダイムデザイン研究  真壁智治◎チームカワイイ
世界カワイイ革命         桜井孝昌
東京カワイイTV           NHK
「かわいい」の帝国        古賀令子 他