何が何だか2016/10/02 19:56

どうも今回の築地の豊洲移転の問題はすっきりしないことが多いです。

建築をやっているものとして、マスコミの報道を見る限り何がなんだかわからない状態であります。
それに、輪をかけて、素人が有る事無い事、わいのわいのと、いい加減なコメントを発信しているので、ますます、状況がわからないのです。

このような大規模プロジェクトを推進するに当たって、都民の税金が使われるのですから、
税金が適切に使われたか、
設計者選定は適切であったか、
計画が、設計者の思惑で進まないで、東京都の希望する条件に合った適切な設計がなされたか
ゼネコン選定には、公正な審査が行われたか
施工に当たって、適切に工事なされたかなど、
発注者である東京都が、事業をすすめる上で、第3者として計画の説明責任を代行する、コンストラクションマネージャーを、何故、立てていなかったのか、疑問点が残ります。

第3者の公平な立場で、今回の騒動について、明確なコメントを話す人がいない事、設計者が何も、公の場に登場してこないことなど、一つ一つの事象を考えるごとに不思議でなりません。

実際、豊洲市場の様な,長大スパンを要する建築物の場合、盛土をしたら、どのように地盤沈下するかわからず、建物そのものを盛土に建てることはできません。
また、盛土が当初言われたように、できたとしても、盛土を完了してから、豊洲の埋立地の用に供することができるようになるためには、
何十年と経ってから出ないと土は静定しません。

ここの敷地に建物を成立させるには、長大規模建築で在るため、盛土を当初の計画通りしたとしても、建物を静定化させるために、盛土した部分まで、土を再度掘り起こして、捨てて、安定した土壌が出るところまで、地下に構築物を建設しないといけません。
今回の地下構造物は、安定した地盤に地下空間を作ったので、一理あります。

また、豊洲の様な湾岸地域の埋立地を想定すると、昔は海で在りましので、地下水位が高いことが想定され、小さな建物なら大丈夫ですが、このような長大建物の場合、水の浮力で、建物が浮き上がってしまいます。
浮力を押させるために、建物の重量を重くする必要があります。

建物重量を重くすることは、今回の建物では、高層ビルでありませんので、無駄な構築物を建設しなくては行けません。このため、建物重量を重くすることを回避するために、地下空間であっても、水位の高い建物は、水の噴出をコンクリートで固めてしまわないで、噴出する地下水の逃げ道を作って、その水を効率良く排出することが重要であります。

この程度の事は、設計者であれば、当然説明できるのでありますから、
なぜ、今回の設計に至ったかを、技術者として真摯に話すべきであります。

もっとも、技術屋は、大衆と向き合うことをしたことがありませんので、「盛土してないでは無いか!」とか、「地下水が出ているではないか!}とか、怒涛の疑義や質疑に、懇切丁寧に、素人にわかりやすく説明できないので、あえて、マスコミの前に登場してこれないのかもしれません。

マスコミが、離婚や不倫と同等に、面白おかしく取り上げる今回の風潮に、離婚や不倫は、個人的な問題ですから、いい加減なことも行って良いし、憶測でもなんでも良いですが、
もっと都民は、今回のことに対して冷静になって、対応すべきです。

豊洲移転については、都税を使って、ここまで野放図にしてきた状況を冷静に振り返って、築地が市場としての機能的使命が終わって来ていること、築地の土壌汚染の状況、ネズミ、ゴキブリの巣になっている状況なども、冷静に説明して、豊洲市場と比較させ、豊洲移転が妥当か妥当で有るのか無いのか、東京都が専任した、コンストラクションマネージャーに説明責任を果たさせるのが筋でないでしょうか?

もし築地を存続させるなら、日本の漁業の物流システムが、築地を介さずに、動いて行ってしまうのですから、日本が空港建設で遅れを取って、ハブ空港がすべて、東南アジアに移行してしまった状況と同じことが発生することを、ちゃんと理解する必要があります。

全体的な市場の優位性を保たないと、明日は、中国の市場で取引された魚を食する日が、目の前に迫っています。

この時期に、またまた、オリンピックの施設移転を、運営費がかかることで、白紙にしようとしていますが、ここも都民として、日本人として、冷静に判断する必要があります。

保育所の運営原資が、以後の施設の運営費で算出できるとか、施設によって雇用を生み出すとか、主要なイベントの開催は、常に中国など東南アジアに取られないとか、広域的な観点で見ないと東南アジアの競争に負けてしまいます。

成田空港が、一部の地元の利益に固執したために、ハブ空港となれず、韓国の仁人空港や、中国の広州の空港のように、大きな空港ができハブ空港となり、多くの人とものが、日本を通らないで、素通りされてしまったように、いまでも、海外に行くには、日本以外のハブ空港を一旦経由しなくて行けません。

もうこれ以上、3等国に舞い戻る蹉跌は踏みたくありません。
4兆円を使った、英国などは、その後の国の経済発展は凄いものでした。

日本は、いつまでのジャパン・アズ・ナンバーワンの妄想から脱却でず、足元から崩れ去っているのに、まだ、その事実がわからない国になろうとしています。

「何故スパーコンピューターで一番でなければ行けないのか」と、とぼけた発言をした代議士もいますが、無知が多くの日本の損失を招いています。

どこに行くのでしょう?日本は。
もっと、本質、世界との競争を考えないと・・・

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