春の夢 新・平家物語2015/04/05 20:10

先週は、一家総出で、とっても古女房と私の二人しかいませんが、ウィルス性胃腸炎にかかり、病床での週末と週始めを味わいました。

結局、私が土曜日の午後から、火曜日の午前中にかけて、かみさんが、その後私のウィルスが伝染って、金曜日にようやく一家健康を取り戻しました。

今週は、せっかくの土日でありましたが、桜も昨日今日と、あいにくの曇り空と雨にたたれて、万朶の桜を満喫する事ができませんでした。

年々歳々相似たり、歳歳年年人同じからずと言われるように、健康でも、歳を取ると、回復力がなくなり、病も長引くことがわかり、病気をするごとに、人はいつまでも、昨年とは同じでないことを実感します。

さて、この悲惨な日々の前日に、北陸で仕事をしている場所で、春の息吹を楽しむことができました。

写真は、稲葉山という、仕事場の近くの山の頂上から砺波(となみ)平野を望んだ写真であります。

今年の冬は厳しくて、例年にない大雪に遭遇して、過酷な現場を経験いたしました。
雪が溶けた、北陸の砺波平野を山頂から見渡すと、「ああ、春がきてよかった!」と思わず、涙腺が緩むような感じがいたしました。

北陸地方は、農地改革が進まなかったのか、区画整理された田園風景はなく、そのことが、自然集落的な景観が保存されており、日本の風景を豊かにしています。

昨年7月から、北陸の土地に仕事で通っている間に、吉川英治の「新・平家物語」全12巻を読破することが出来ました。
長編小説はなかなか、目も悪くなったり、気力が衰えてきて、最近は手に取ることがなかったのですが、

ここ近傍には、倶利伽羅峠(クリカラとうげ)があり、木曽義仲が、絶対に兵力差で不利という状況に、僅かな兵力をまとめて、牛の角に松明を灯して駆け抜けさせたり、夜襲をかけ平家の大群を破った土地がありますし、平泉へ山伏の格好で抜けようとした有名な、安宅の関など、義経ゆかりの土地もあり、北陸地方は、平家物語の舞台と重なって、出張の楽しみを、小説を読むことで更に、満喫することができました。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず
ただ春の夜の夢のごとし
たけき者もついには滅びぬ
偏に風の前の塵に同じ

この吉川英治の小説は、まさに人生の海千山千を超えた人が読むにふさわしく、日本語がこんなに美しく、語彙が豊富であったこと、日本人の感性を、ここまで哀惜の情を持って謳うことができた小説に出会えたことは、幸いでした。

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