ステキなピアノ 人探しの旅 第2弾2013/03/17 20:47

先週の金曜日の夜、激しい下痢
そして、明け方まで、3回も嘔吐
幸い、下痢と嘔吐の翌日が、土曜日だったこともあり、
医者に行ったあとで、終日寝込んで大事に至らなかったのは幸いでした。

感冒性胃腸炎とのことで、1週間、食欲もなく不調でした。
昨日から、ようやく体力、気力、食欲が回復して来ました。
年初来からの疲れと、寒暖の差で、すっかり体力が落ちていました。

さて、先週の日曜日、ふらふらした体調のなか、無理をおして
上原彩子さんのピアノ・リサイタルに、サントリーホールに行ってきました。

通常、コンサートは、必ず、高い席と格安の席から売れてしまいます。
一番安い席を購入する代わりに、チャンスがあれば、何回もコンサートに足を運びたいことを心情にしていますので、入手したこの券も、ネットで半年前に購入した一番安い席のものです。
ただし、この席ですが、サントリーホールの舞台の裏がわの席に初めて座ることができ、今までと違う雰囲気を味わうことができました。

今年、第2弾の、人探しの旅は、この日の演奏者である、ピアニストの上原彩子氏です。

彼女は、1980年生まれで、2002年に、第12回チャイコフスキー国際コンクール、ピアノ部門で、女性として初めて、日本人として初めて第1位を獲得した女性です。

今年のプログラムは、すべてラフマニノフの曲で構成されていました。
ふらふらした体調でしたが、登場した上原氏は、第1部の演目の13の前奏曲の第一曲目のはじめの音から、すごい音を奏で、これはすごいという演奏で、すっかり体の事を忘れる程でした。

上原さんの演奏は、ピアノの可能性を極限まで、追求する演奏で、ピアノでもこんな音が出るのか、こんな演奏が可能なのだと、その音楽性は言うまでもなく、ピアノの秘めた多くの可能性をいつも提示してくれることです。

この当日の演奏は、昨年のプロコフィエフの演目より、彼女の得意とする演目なのか、超難曲のアンコールの2曲を含めて秀逸でした。

さて、上原彩子氏を人探しの、第2弾に据えた理由は、
第1に、調律師の人と結婚し、6歳を筆頭に3人の子供がいるにもかかわらず、妻であり、家庭、子育て、ピアニストとして、両立され、第1戦のピアニストとして、努力されていることです。
当日の演奏を聞くにつけ、なぜ、子育て、しかも一番手のかかる時期に、こんな大曲を弾き、その演奏レベルも、第1級であることができるかで、とても感銘を受けます。

第2に、上原氏は、ヤマハ音楽教室から、普通の高校へ進み、そのまま海外に留学して、チャイコフスキーコンクールで、一位をとったことで、異色の経歴から、日本では、とても敵が多いです。

師弟関係でずっと育った音大を出た人たちからは、正攻法な道を辿らずに頂点を極めたので、ヤマハの回し者、一企業によって除菌され、純粋培養されただの、商業音楽家だとか、手だけ動いて、芸術的で無いとか、芸大を頂点とする、大学という権威にかこつけて、言いたいことを言われております。

幸いなことに、JTのインタビューの中で、上原さんは、
「でも、クラシックを難しく考える必要なんてないんです。クラシック音楽の世界には、100年前、200年前のヨーロッパの情景が描かれています。知識を詰め込んで「分かろう」とするのではなく、自由な気持ちで、クラシックを聴いた時に心に浮かんでくる風景を楽しんでいただけるといいなと思います。」
と、話されていました。

ブラボーと感動の拍手のなかで、はにかんで、少しも偉ぶるところがなく、観客に応えてくれる真摯な彼女の仕草を見ると、ますます、
これからも、いろいろな軋轢に負けず、かんばれと応援したくなる人です。