47年ぶりの先生2011/11/19 22:42

今年の2月に、たまたま保存したBS放送の番組で、朴葵姫(パク・キョ・ヒ)と言う女性ギタリストを知ることができました。

我々おじさん世代が、ギターを始めたきっかけは、NHK教育テレビのギター教室と、東京アカデミーのギターの通信教育の楽譜とソノシートでありました。

いまから45年以上前に放映されたNHKのギター教室と言えば、講師は阿部保夫先生で、この人の教えて頂いた運指と弾き方には、その後のギター演奏に、ずっと呪縛のように、重くのしかかっておりました。

田舎で、しかも誰もギターを弾く者がいなかった環境では、唯一、毎週放映されるギター教室が、理論とテクニックを吸収できる機会でした。

当時は、番組を録画できる機器は、今のよう時代と違って何もありませんし、まだ、テープレコーダもない時代でしたので、その放映時間は、わき目も振らず集中して、この番組をみていた記憶があります。

阿部保夫先生の演奏方法、つまり、ギターの持ち方と、指で弦を弾いたら、次の弦にまで、その指を持っていって留めるという、アポヤンド奏法が、正しい弾き方だと教えてこられましたので、その後30年以上、何かおかしいと感じつつも、その教え方を守ってきました。

ところが、ギター演奏法も進歩するもので、ギターの糸巻き機の先端は自分の肩の高さまで立てて、右手首を曲げることなくまっすぐに、サウンドホール下端に添えるように構え、次に、弾いた弦の指を次の弦に触れないように演奏する、アルアイレ奏法が、演奏を無理なく、しかも早いパッセージが弾けることが明確になりました。

阿部保夫先生流の演奏方法では、手首を折り曲げて、無理な姿勢を取るので、手首に負担がかかり、腱鞘炎になりやすく、一音、一音明確に撥音させるので、スピードが落ちる欠点がありました。

新しく進歩した、この演奏方法は、いわゆる、「カルレバーロ奏法」と言われるものです。

10年までぐらいに、どうも若手が弾くやり方が違うと気がついてから、そ発端はバルエコのギター演奏をNHK教育テレビで、見たときでしたが、阿部保夫流の弾き方との違いに驚くとともに。一つの奏法に捕らわれている自分を発見し、この奏法は正しいのかどうなのか、受け入れるのかそうでないのか、葛藤がありました。

その後、約7年かかって、この演奏方法に奏法を変更し、ようやく一番楽な方法が自分に合っていると感じ、今では、旧演奏法と新演奏法を混ぜて、メロディックな曲の時は、旧法にするなど使い分けています。

さて、この朴葵姫さんですが、完璧なテクニックと、現代奏法で演奏されており、ギター演奏の一つの理想の形を見せてくれています。

小さい手、まだ20代の若手、女性というハンディを持っているのですが、ダイナミックさと個性がさらに確立されれば、これからますます伸びる逸材として期待できる人なので、注視しております。

ギター練習のために、テクニックを盗ませて頂くには、本当に素晴らしい演奏に出合ったと感じております。
いまは、この演奏を教師として、
換骨奪還 明日のジョーの様に頑張りたい思いでいます。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://kinonkoya.asablo.jp/blog/2011/11/19/6207679/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。