自粛を続けると2020/08/23 08:07

外山滋比古さんが、他界されたことに触れませんでした。
7月30日に、96歳でしたから、男としては大往生かもしれません。
氏の著書から、多くの示唆と感銘を受けたので、
とりわけ惜しい人を亡くしたと感じます。

以前にも取上げましたが、
93歳で執筆された「知的な老い方」は、2017年2月に出版されたのですが、私が手に取ったときは
同じ年の、4月にはもうすでに6刷になっておりました。

誰もが逆らうことができない、老いというものに対して、知的に老うと言うことを称えた本で、今まで出版された本の集大成版の様に、様々な知恵が凝縮しております。
まさに暗中模索する老後の、懐中電灯、羅針盤の様な本であります。

思考やお金について氏の記載された内容には、大きく影響を受けました。
特にコロナ禍のこの時期には、「思考の整理学」は、読んでもらいたい本です。

日本の教育や、指導というものが、
引っ張って飛ばす訓練の中で、子供達を教育するので、
その結果が、グライダー人間を作ってしまっていると言うことです。
これは、操作する側からは大変都合が良い思想で、マスプロダクトに
多くの人材を提供することができます。

自分の力で考えて、飛ぼうとする飛行機人間でないので、
グライダー人間は、常に引っ張ってもらわないと
何もできない、どうしても依存心が出てしまいます。

今回のお盆の帰省についても、自分が自力で飛べない人間なので、
自粛か、帰省か一つでもぐらついてしまいます。
しかも、
自分の行動すら、方向性を定めてもらわないと動けない人がたくさんいて、
むしろ喜んで規制してもらおうと、国と県や都の方針が違うと、怖くて動けない判断できない自分を差し置いて、国に対して立腹したり、規制の依頼や依存をしてくるのです。

グライダー人間の、このことを考えるきっかけは、40年以上も前ですが、修士論文を書くときでした。

卒業論文までは、指導教官の下に、テーマを与えられて引っ張ってくれて論文を書いて卒業できるのです。
しかし、
これが、修士論文書く段階になると、簡単なブレスト以外、教官自身もわからない世界ですので、指導はできず、されません。

いろいろな論文を読む度に、
自分の関心事はすでに論文化されていて、どこをつついてもテーマが取られており、出口はおろか入り口さえ見えない時期があります。

いまのコロナと一緒で、誰かに引っ張ってもらわないといけないようになってきて、一定の方向に動いてしまう、一種の思想ファシズムに落ちいってしまうのです。
誰かにすがりたい、方向性を見せてもらいたいという一種の焦りと依存が
追い詰められて来ると出てきてしまうのです。

ここを抜けるには、自分で物事を考えて、自分の言葉、足で動くことです。
苦しくても動くことです。とにかく行動に出るのです。
3密を避ける行動以上に、自分の行動を自粛してしまうと、
一挙に思考ファシズム、依存ファシズムに入り込んでしまいます。


長い前置きでした、今日掲載した写真は、
山川直人さんの「コーヒーもう一杯」という本です。
たまたま、古本屋で1巻から3巻まであったのですが、
このマンガを見た瞬間に、この人は、スクリーントーンを使わないで、
すべての絵を、ペンで書いていたのです。

現在のマンガは、スクリーントーンを多用しないと成立しないほど、描画技術は高度です。

この人の漫画は、彼の作品を見ればわかるのですが、ひたすら無骨ですが、本当に人を愛する心が、無骨な作品の中に現れています。

彼を形容して、漫画界の吟遊詩人と評していますが、
本当に心線に触れて、心が和やかになります。

絶版本が多く、いまは、インターネットを駆使iして、
オンラインで彼の本を集めております。